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2020年

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【病院・薬局調査】 後発医薬品使用体制加算 2018 年度改定前の1.6 倍

2020年2月6日

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後発医薬品使用体制加算 2018 年度改定前の1.6 倍
病院、診療所ともに増加傾向
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 株式会社日本アルトマーク(以下、日本アルトマーク、東京都港区・代表取締役社長 梅田友彦)は、後発医薬品関連の加算算定施設数等について、2019 年11 月時点の状況を調査いたしました。

 後発医薬品(ジェネリック医薬品)は先発医薬品に比べて安価であることから、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資するものとして、厚生労働省により、その使用促進のためのさまざまな施策が講じられています。2017 年6 月の閣議決定において「2020 年9 月までに、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する。」という具体的な目標が設定されました。
 2019 年12 月に厚生労働省より公表された「医科・調剤分の後発医薬品割合(数量ベース)について」によると、「医科入院」「医科入院外」「調剤」を合わせた後発医薬品の使用割合は、2019 年3 月時点で75.1%となっています。内訳を見ると「医科入院」77.7%、「医科入院外」64.3%、「調剤」76.6%であり、「医科入院外」が遅れていることがわかります。
 2020 年度診療報酬改定の議論でも、さらなる使用促進策が検討されている後発医薬品に関して「後発医薬品使用体制加算」「外来後発医薬品使用体制加算」「後発医薬品調剤体制加算」の算定状況から、現在の状況をまとめました。


◇後発医薬品使用体制加算4,413 施設が算定 病院は2018 年度改定前の1.6 倍

  後発医薬品使用体制加算は入院患者に対する入院基本料の加算であり、後発医薬品の採用品目数や使用割合の基準を満たす病院および診療所が算定できる。2019 年11 月時点で算定があったのは4,413 施設(※1)であり、内訳は、病院が4,015 施設※1、診療所が398 施設(※1) であった。(図1、図2)




 DPC 制度における後発医薬品係数の見直しにともない、2018 年度診療報酬改定でDPC 対象病棟入院患者が後発医薬品使用体制加算の対象となり評価対象患者が拡大された。この影響か、後発医薬品の使用割合の基準が引き上げられ算定要件が厳格化されたものの、病院においては2,401 病院※1 が算定していた2017年11 月時点と2019 年11 月時点を比較すると1,614 病院増加し、約1.6 倍となった。(図1)

 病床規模別に見ると、全国の病院数に対する2019 年11 月時点の後発医薬品使用体制加算算定病院の割合は49.1%であり、2017 年11 月時点より17.6 ポイント高くなった。どの病床規模においても割合が伸びている様子が見てとれるが、病床規模が大きい病院の伸びが特に目立つ。(表1)

表1 病床規模別 後発医薬品使用体制加算 算定病院数および割合(2019 年11 月時点)

 2019 年11 月時点の経営体別では、健康保険組合や共済組合などが含まれる社会保険の割合が最も高く94.4%、次いで、国立88.9%であった。(表2)
2017 年11 月時点からの伸び幅を見ると、社会保険が最も大きく74.0 ポイントであった。医療法人およびその他の法人は、伸びているものの依然半数を下回る結果であった。(表2)

表2 経営体別 後発医薬品使用体制加算 算定病院数および割合(2019 年11 月時点)

※1 複数区分を届出ている病院・診療所があるため図1 および表1、表2 の合計とは異なります
※2 病院数:全国の病院数、割合:病院数に対する算定病院数(合計)の割合


 2019 年11 月時点の都道府県別の状況を見ると、算定施設数は愛知や福岡が突出して多かったが、都道府県ごとの病院数に対する算定割合が最も高かったのは青森16.0%、次いで、和歌山13.3%であった。なお、岩手では算定がなかった。(図3)




◇外来後発医薬品使用体制加算 8,643 施設が算定

 外来後発医薬品使用体制加算は、院内処方を行っている診療所が後発医薬品の使用割合などの基準を満たす場合に算定できる加算である。年々増加する傾向にあり、2019 年11 月時点では8,643 施設が算定していた。(図4)




 2019 年11 月時点の都道府県別の算定施設数は、大阪が最も多く950 施設、佐賀が最も少なく30 施設であった。(図5)





◇後発医薬品調剤体制加算 40,245 薬局が算定

 後発医薬品調剤体制加算は薬局における後発医薬品の調剤体制を評価する加算であり、2019 年11 月時点では、全国の保険薬局59,602 薬局の68.3%にあたる40,245 薬局※3 が算定していた。
 評価区分が2 区分から3 区分となり調剤数量割合の基準が引き上げられた2018 年度診療報酬改定直後は算定薬局数が減少したが、2019 年11 月には改定前の2017 年11 月を上回る結果となった。




 また、改定後の2018 年11 月と2019 年11 月を比較すると、高い調剤数量割合の区分2 および区分3 が伸びていることがわかる。(図6)


※3 複数区分を届出ている薬局があるため図6 および表3 の合計とは異なります


 2019 年11 月時点で後発医薬品調剤体制加算を算定していた40,245 薬局を調剤基本料別に集計すると、調
剤基本料1 が最も多く、次いで、調剤基本料3 ロ、調剤基本料3 イと続いた。(表3)

表3 調剤基本料別 後発医薬品調剤体制加算 算定薬局数(2019 年11 月時点)


 都道府県別では、大都市圏をもつ東京、神奈川、愛知、大阪などで算定薬局数が多かったが、都道府県ごとの保険薬局数に対する算定割合は、沖縄、島根、岩手が高かった。最も高い沖縄90.1%と最も低い徳島43.6%との間には46.5 ポイントの差があった。(図7)



 今回の調査結果から、厚生労働省がかかげる「2020 年9 月までに後発医薬品の使用割合を80%にする」という目標に向かって一歩ずつ進んでいる様子がうかがえる。今後どのような施策が打たれ、どのように変化していくのか、引き続き動向に注目したい。



[図1、図2、図3、図4、図5、図6、表1、表2、表3]
出典 : ㈱日本アルトマーク [MDBα]




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