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2019年

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【薬局調査】調剤基本料算定薬局におけるかかりつけ機能の動向

2019年12月20日

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調剤基本料算定薬局におけるかかりつけ機能の動向
かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料算定割合 調剤基本料3が66.7%
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 株式会社日本アルトマーク(以下、日本アルトマーク、東京都港区・代表取締役社長 梅田友彦)は、2018年診療報酬改定時に算定要件が見直された「調剤基本料」について、2019年9月時点の算定状況を調査いたしました。

 地域包括ケア構築に向け、薬局の機能が大きく変わろうとしています。調剤基本料では、2016年度診療報酬改定より、いわゆる門前薬局を対象とした算定要件の見直しが進められてきました。2018年度改定では薬局の地域医療への貢献が求められる中でさらに見直しがなされ、特定医療機関からの処方箋集中率引き下げや、同一グループ全体の処方箋受付数による要件が細分化され、門前薬局を多く抱える薬局チェーンにとって厳しい評価体系となりました。対物業務から対人業務へのシフトが求められている薬局について、今回は調剤基本料とかかりつけ機能に関する観点から、現状をまとめました。

保険薬局のうち82.0%が調剤基本料1を算定

 2019年9月時点の保険薬局数は59,395軒となっており、診療報酬改定前の2018年2月時点から679軒増加と、保険薬局全体は増加傾向である。59,395軒の調剤基本料算定状況をみると、保険薬局全体のうち82.0%が調剤基本料1を算定していた。(図1)
 調剤基本料の算定状況を区分別にみると、改定前後の2018年2月と2018年9月で、調剤基本料1が減少し、調剤基本料3が大幅に増加していた。2018年改定では門前薬局への評価見直しに伴い、調剤基本料3は処方箋集中率を95%超から85%超へ引き下げるとともに、グループ全体の処方箋受付枚数(月4万~40万回以下、月40万回超)が要件に加わった。改定前後の動きは、この要件見直しに伴い調剤基本料1の算定要件を満たせなくなった門前薬局などが増加したことによる動きと思われる。


※図2「その他」:2016年度項目の「調剤基本料4」「調剤基本料5」「調剤基本料4(注1)」が含まれます。



◇改定前後の算定状況の変化

 診療報酬改定前の2018年2月時点から改定後の2018年9月時点までの薬局の変化をみたところ、2018年2月時点で調剤基本料1を算定していた薬局のうち、調剤基本料1以外の区分へ転換していた薬局は3,447軒あった。転換先の算定区分の割合をみると、調剤基本料3への転換が最も多く、42.6%にあたる1,468軒が調剤基本料3のイに、41.7%にあたる1,438軒が調剤基本料3のイに転換していることがわかった。(表1)
 
表1 2018年2月から2019年9月における調剤基本料算定薬局の動き


 改定前後では算定薬局の動きに変化がみられたが、改定後の各区分の算定状況に目立った動きはなく、全体的に右肩あがりである。一方、調剤基本料を算定していない薬局数が減少傾向にあった。(図2)保険薬局数が増加傾向にあることからも、2018年改定後の各区分の算定薬局増加は、新店舗および調剤基本料未届薬局による新規算定数とみてとれる。


かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料 調剤基本料1が最も少なく52.7%

 2019年9月時点のかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料を算定している薬局は31,329軒となっており、保険薬局全体(59,395軒)の約半数である52.7%の薬局が算定していた。(図3)
 かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料を算定している薬局の調剤基本料の算定状況をみたところ、保険薬局における算定数が最も高い調剤基本料1の算定割合は52.7%と、最も低くなっていた。反対に、医療モール、門前薬局やチェーン店を対象とした調剤基本料2や調剤基本料3の算定割合が高く、報酬点数の低い区分ほど、かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の算定割合が高い傾向にあった。(図4)





薬局チェーン別算定状況 3位以下8グループで調剤基本料3のロの算定割合増


 
 保険薬局店舗数が多い薬局チェーン上位10グループの調剤基本料算定状況をみたところ、上位2グループ(グループA・B)と3位以下グループ(グループC~J)で算定状況に違いがみられた。上位2グループはいずれも調剤基本料1の算定割合が95%台と大部分を占めており、調剤基本料1以外の算定割合は極端に少なかった。一方、3位以下8グループでは区分ごとの算定割合にばらつきがみられた。調剤基本料3のロの算定割合が上位2グループと比較して高くなる傾向にあり、グループC、D、F、G、Hの5グループでは調剤基本料1より調剤基本料3のロの算定割合が高くなっていた。(図5)



 かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の算定状況は、グループIが最も高く85.9%であった。店舗数トップのグループAは10.3%と最も低い算定率となっていた。傾向をみると、かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の算定割合が低い薬局チェーンは調剤基本料1を、算定割合が高い薬局チェーンは調剤基本料3のロを算定していることがわかった。調剤基本料部分で補えなくなった報酬点数を、かかりつけ薬剤師などその他の算定項目で補完する動きが各薬局チェーンで展開されているものとみられ、各薬局チェーンにおける取組みの特性がみられる結果となった。(図6)

 2020年診療報酬改定においても対人業務を評価する動きがみられる。薬局の機能強化・機能見直しの方向性について、引き続き動向に注視したい。




[参考]

※2019年10月より消費税増税に伴い1点引き上げ



[図1、図2、図3、図4、図5、図6、表1、参考] 

出典 : ㈱日本アルトマーク [MDBα]






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