2018年10月17日
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MDB を利用した「医師数の地域間格差」に関する論文
英国オンライン医学誌「BMJ Open」に掲載
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株式会社日本アルトマーク(以下、日本アルトマーク、東京都港区・代表取締役社長 伊倉雅治)が提供するメディカルデータベース(以下、MDB)を利用した「医師数の地域間格差」に関する論文が、英国オンライン医学誌「BMJ Open」に掲載されました。
【論文概要】
1)論文名
Future Projection of the Physician Workforce and Its Geographic Equity in Japan : A Cohort-Component
(日本における医師数と地域間格差の将来予測:コホート要因モデル)
2)著者
原 広司1, 2 、國澤 進1 、佐々木 典子1、今中 雄一1
1 京都大学 大学院医学研究科 医療経済学分野
2 京都大学 産官学連携本部 パナソニック先進共同研究部門
3)研究の背景
日本の医師数は今後も増加し続けることが予想されている一方で、将来の医師数の地域間格差、さらに地域ごとの医師の年齢や性別などの人口分布の変化について明らかになっていないことから、将来の地域ごとの医師数分布と性・年齢分布を予測した。
4)研究の方法
基準人口、将来の引退率、将来の新規医師数、将来の流入率・流出率の仮定値を用いたコホート要因モデルにより、日本の二次医療圏を対象に2005 年から2035 年までの医師数の変化を調査。ただし、二次医療圏は、都市あるいは地方、元々医師供給量が大きい地域あるいは少ない地域という2×2 の計4 グループに整理して、グループごとの将来推計を行った。
(日本アルトマークによる2005 年から2015 までのMDB データを使用)
5)研究の結果
2005 年から2035 年にかけて、25 歳から64 歳までの医師数は、地方で医師供給量が小さいグループでは6.1%の減少がみられた一方で、都市で医師供給量が小さいグループでは37.0%増加することが予想された。高齢医師の割合はすべての地域で増加がみられ、とくに地方で医師供給量が小さいグループでは14.4%から31.3%へと増加することが予想された。地方では医師数自体が増加しているものの、医師数の地域間格差は拡大していくことが明らかになった。
6)結論
コホート要因モデルを用いて、地域別の医師数将来推計を明らかにした。医師数の地域間格差は2005 年から2035 年にかけて拡大することが示されたほか、25-64 歳の医師は都市部に集中し、医師の高齢化は都市よりも地方で急速に進展することが予想された。結論として、今後、格差解消のためのさらなる対策や、医師の生産性向上に役立つIT の活用などが必要とされる。
BMJ Open
Future Projection of the Physician Workforce and Its Geographic Equity in Japan : A Cohort-Component
Model. BMJ Open 2018 ; DOI: 10.1136/bmjopen-2018-023696
(日本における医師数と地域間格差の将来予測:コホート要因モデル)
◇医師数の地域間格差について
医師数の地域間格差は、厚生労働省や文部科学省において、さまざまな取組みがなされてきたものの、解消には至っておらず、さらなる高齢化社会を迎える我が国において深刻な問題となっています。
医学部の定員は、琉球大学医学部が新設され「1 県1 医大構想(「経済社会基本計画」(1973 年閣議決定)」が実現した1981 年を機に8,280 人まで増加しました。その後、段階的に抑制が行われ、2007 年には7,625 人まで削減されました。しかし、地域や診療科により医師不足が発生していたことから、2006 年「新医師確保対策」および2007 年「緊急医師確保対策」において暫定的な医学部定員増が容認されて以降継続して増加し、2017
年には過去最大の9,420 人となり、2018 年は1 人少ない9,419 人となりました。
医学部の定員が増加した結果、医師の総数は年々増えていますが、地域や診療科によっては医師不足の状態が続いています。医師偏在対策の一環として、2018 年7 月に医師数の地域差の解消を目的とする改正医療法・医師法が成立し、都道府県に対して、確保する医師数の目標や達成に向けた施策を定める「医師確保計画」の策定が義務付けられました。
◇MDB(エムディービー)とは
MDB は、医薬品・医療機器等の適正な使用のために必要な情報を医療関連企業・団体の皆様へ提供することを目的に構築された、全国の医療機関・薬局等の施設および勤務する医師・薬剤師等のデータベースです。「人の生命・身体の保護又は公衆衛生の向上のために」を利用目的としており、医療・福祉・保健等の分野に限定した企業・団体で構成された会員制による「共同利用・共同メンテナンス」の仕組みで運営されています。
MDB
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